2010年3月30日火曜日

27日 船場フォーラム

週末の27日は船場げんきの会主催の船場フォーラムが開催された。例年多くの人が参加してくれているが、今年も盛況。今年のテーマはコモンズ。歴史的都心・船場のまちづくりは異種多様なまちづくり組織のそれぞれの活動と連携によって成立している。このことは、船場のまちづくりの大きな特徴であり、資産である反面、大丸有、天神、銀座といった確固たるまちづくり組織が中心となっている取り組みとちがってその目指すべき方向性を指し示すのが難しい。このことはかねがね船場のまちづくりの課題だと考えてきたが、コモンズという考え方で船場のまちづくりを見直すと、新しいまちづくりの可能性に気づく。船場は御堂筋といった道路の拡幅事業や船場センタービルのような都心改造を除けば、多くのエリアは約400年前の町割りをそのまま使う歴史的都市である。即ち、道路は狭いし、公園といった都市施設も十分ではない。また、建築物敷地もさほど大きいとはいえない。しかし、だから、船場のまちづくりでは、連携や共同がとても意味をもつ。確かに一つ一つの敷地は小さいが、公開空地や建築線を連携させて、魅力ある歩行者空間をつくりあげることも可能だし、まちに賑わいをもたらすお店も顔を出せば通りの雰囲気も変わる。要するに、まちに沢山のコモンズを生み出していけば船場は変わるのだ。コモンズが沢山あるまちづくりは、船場の再生手法を語るうえで、とても分かり易いように思えてきた。行き詰まりを見せることなく毎年進化し続ける船場のまちづくり。来年はどんな進化を見せるのか・・・楽しみです。

2010年3月25日木曜日

昨日は卒業式、追いコン

昨日は卒業式、謝恩会、追いコンといった大学の年度末恒例の風景。
特に今年は赤﨑先生の「追いコン」でもあり、学生もさみしそうな面持ち。

論文指導では相当厳しいことを言って学生を悩ませただろうなあと思う。
あるいは研究室で様々な行事、イベント、フィールドワークを展開しているので、学生諸君も大変だったと思う。怒濤の1年間だったのではないだろうか。

指導の仕方っていうのは相当先生ごとに違うと思うのだが、振り返ってみると私のやり方は私の博士論文の指導教員の先生の影響が大きい。実は意図的にそういうことをやっている。私の先生は、相手と対等に向かい合うのが研究であるという方だった。勿論、学士、修士によって能力や知識も違うし、人それぞれ性格も違う。しかし、基本的には、自分がどう考え、どうあるべきかを包み隠さず話す正直な場であるべきだという考えをもっていた。私もそういう場所でずいぶんと鍛えられたと思う。もちろん、意見の相違も沢山あった。が、振り返ってみると、論文指導で全力投球してくれた先生には本当に感謝しているし、そのやりとりの中で自分の考えをハッキリできた。
挑発的な指導も敢えてされていたように思う。というのも、普段は明るい先生だし、飲み会に行くと豹変して酔っぱらいになる。ふつうのオッサンである。しかし、ゼミの時だけは別人になる先生だった。私もそれを見習っている。そのうち自分のスタイルが出来てくると思うが、今は試行錯誤中かもしれない。

学生には厳しすぎるかなと反省することも多々有るが、研究の場では正直でありたいと思う。社会に出て仕事をするときもそのことは変わらないように思う。大事なところでは、みんな真剣なはず。相手の限界をこっちが勝手に決めつけるのはどうも躊躇してしまう。あまり器用な方法ではないかもしれないが、悩ましいところ。

いずれにしても、みんなよくがんばってくれた。ホントに成長したと思う。研究室でもまれた学生は社会に出ても十分通用すると思う。企業の方々にはお買い得な人材だと思うのだが。
是非採用してあげてください。

卒業生諸君はマメに連絡を下さい。顔を見せてください。飲みに行きましょう。
ありがとう。


3月27日は船場フォーラムです

3月27日(土)ガスビル3Fホールで13時30分〜 船場フォーラムが開催されます。
今年のテーマは

「船場コモンズを使いこなす」

まちのコモンズが歴史的都心・船場を変えるか

です。
船場のまちづくりは相当ユニークな形態で進みつつあるが、近年は加速度を増してきた。特に各団体の連携によるイベントや、空間の活用、地域ブランドの形成といった動きがある。それらを総称して、船場コモンズと呼び議論をしていくのが今年のねらい。
是非是非お越しください。

2010年3月16日火曜日

ヤギリッチ


研究室に卒業生の八木君が訪ねてきてくれた。昨年度の卒業生。住宅会社に就職し、営業をしているらしい。お客さんとの円滑なコミュニケーションを目指して名刺も工夫されている。ヤギリッチ。
節分の際には赤鬼をしたらしい。営業は大変なようだが、働いてお金をもらうということは楽ではない。
学生の頃よりも表情が出てきたように思うし、着実に成長しているので安心した。
住宅業界の四方山話をして、また近いうちに会うことを約束。
どうやら戸建住宅は単に住宅を売るだけの仕事ではなくなってきているようだ。コミュニティの仕掛けづくりなどライフスタイルをサポートする産業にまで発展するかもしれない。
卒業生が訪ねてきてくれるのはこの仕事の特権。ほっとするひととき。
がんばれヤギリッチ。

河内長野市観光フォーラム

3月13日河内長野市にて講演。『高野街道にぎわい・まち並み再生にむけて』というテーマ。参加者多数で会場は熱気あふれる雰囲気。芝田市長も高校の社会科の先生をされていたということもあって、歴史・文化にはとても造詣が深い。
私の話はともかくとして、地元の方々の高野街道を愛する気持ちや、まち並みや文化を活かした地域活性化に対する思いが深いことはひしひしと伝わってきた。予定調和ではなく、前向きにこれからのことを語るよい機会だったように思う。参加させていただいて気持ちのよい会だった。実はこの手の会は行政批判になることも少なくないのだが、今回は皆が自分にできることは何かという視点で語っていたのが印象的だ。これはまちづくりでもっとも重要なこと。
しかし、河内長野市は景観をはじめ地域資源をいかしたまちづくりに関わる制度・仕組みが十分整えられている環境でないことも事実。21世紀という時代を展望したときに欠かせない視点であることは確かだ。環境整備はしっかりと整えて欲しい。
全国の多くのまちでは、かけがえのない大事な風景や資源がある日突然なくなってしまうという問題は珍しくない。厳しい規制が正しいというつもりではないが、多くの人々が大事だと思っているものは守れるようにはしたいものである。

講演会でも指摘したが、たんなる修景整備に終わることなく、継続的なまちづくり、河内長野ブランドの確立につながる総合的な政策として取り組んで欲しい。
芝田市長の教え子が都市学科の学生でいることも判明。当然、河内長野のまちづくりに貢献してもらわなければ。

3/27 船場フォーラム

今年も船場フォーラムのシーズンです。テーマは「船場コモンズを使いこなす」
是非参加してみてください。熱気あふれる場になることを期待しています。


平成22年3月27日(土)13:30~17:30 (開場 13:00)
ガスビル 3Fホール
交流会  ガスビル1階「feu feu」(18:00~19:30)

設立5周年を機に「せんばGENKIの会」は、「船場げんきの会」と名を改め、「船場のありたい姿」を求めて次のステップアップに向けスタートしました。
歴史的な格子状の街路といった公共的基盤しかもたない船場のまち中には、規制緩和で設けられた公開空地や建築後退線、そして神社仏閣や開放施設、商店街のアーケードなど、様々な形の「コモン」が数多くあります。日常的には緑や環境保全、暮らしや生活文化のために、そしていざ災害時には避難のために役立つ空間にもなります。
「船場コモンズ」とは、「船場の活性化に活用でき、役立つあらゆる公私の空間」を意味し、祭りやイベント、ソーシャルネットワークも含めたキーワードです。しかし、その多くは企業などの私有地が多く、活用には企業の意向が前提となり、法令上などにも様々な制約があります。
船場ではこうした資源が、十分活用されないまま多く潜在しています。これらのコモンズを掘り起こし活用できれば、まちの賑わいや魅力的なまち並みづくりに大いに貢献するでしょう。
そこで今回は、船場コモンズをいかに使いこなせるか、船場の企業市民などの参加を得て、新しい視点で考えてみたいと思います。 

2010年3月12日金曜日

怒濤の2日

この2日、猛烈な日々を乗り越えた。まだ若干仕事は残っているが今夜は帰宅できそう。
明日は午前中市大で市民公開授業「地域環境性能の向上を目的とした公共空間のデザイン」というテーマに参加。私は公園緑地のネットワークについてお話しする。いま海外の有名都市がこぞってこうしたネットワーク形成に取り組んでいるという話と、実は大阪市南部も戦前公園緑地のネットワークがしっかりと計画されていたというお話をする予定。戦前の公園緑地ネットワークは、卒業生の高垣君の取り組んだ修士論文。いまはランドスケープデザイン事務所にいるが、今回の公開授業にあわせて5つの模型をつくるという無理な仕事を引受けてもらった。彼がこの手のことは一番考えている人のはずなので、機会があれば参加してもらいたい。
午後は某市で生活景に関する講演。府の進める街並み整備事業に参加する自治体の主催するフォーラムで街道筋の活性化、観光、まちづくりと景観形成のあり方というようなことについて語ります。
3月は土日イベントが多くて休みなしの日々。しかし、呼んでもらえてしかも自分の考えを伝える機会がいただけるのは非常に幸せ。ぜひ各地のよいまちづくりにつながるなら喜んでどこへでも行きたい。ただ、話を聞いて終わりという会にはしてほしくない。どこまで面白い話ができるかは分かりませんが、今後のまちづくりに是非活かして欲しい。そのために頑張っている。
春になったら卒業生、研究室の学生たちとも飲みに行きたい。話もしたい。それを楽しみにしつつがんばっております。
さてと、仕事に戻ろう。

最悪

いろいろあって非常に忙しい。どうしようもない。

2010年3月9日火曜日

twitter

最近、twitterを練習中。studio-Lの山崎さんがtwitter界では有名人となっている。山崎さんがはまっているという話を聞いたので、ちょっとさわりだした。
実は色々な友人、知り合いがtwitterをやっていることが判明。なかなか面白い。
ブログもその時、その場で感じたことを綴り、伝える有力な手段だが、twitterはさらにリアル感とタイムリー感がアップする。ブログはまだある程度整理された情報だが、つぶやきはもっとショートでなまなましい感じ。あとで見るとその時の自分を思い出す。
いろんな人がつぶやきを見てくれているのもびっくり。

蔵出し


環境都市工学演習IIIの一コマ

2010年3月7日日曜日

RIPS

研究室で論文のための資料整理と読み込みをしたあと、たまったメールに返信をして、RIPSの定例会に向かう。今回はゲストで立命館大学の高村学人先生。法社会学の立場からコモンズを研究している先生。草津の提供公園、東村山市の民設公園、リヨン、グルノーブルの社会住宅のレジダンシャジザシオンと話は縦横無尽に。すべてはコモンズがテーマ。我々もまちのコモンズを目指して活動を展開しているわけで、問題意識は全く同じといってよい。RIPSは閉じられた学問や専門分野を解き放つ場所となりうる可能性を感じた。ある専門分野に立脚する学会には絶対にできないことができるかもしれない。
終了後の飲み会も恐ろしく盛り上がる。よし、やるぞ。という雰囲気が最高潮。
またまた元気をもらいました。

2010年3月5日金曜日

季刊まちづくり

季刊まちづくり26が発刊されました。地域づくりの視点から都市計画制度に提案するというテーマ。いくつか原稿を書いていますので、是非ご覧下さい。

一枚の写真


去年の10月10日。RIPSとして取り組んだピクニックミーティングの打ち上げの時の写真を杉本さんから送ってもらった。どんどん人が集まってきて盛り上がった。年齢はみな30〜40代。これからの関西・大阪、いやニッポンを支える?元気な人たちが集まった。
記憶に残る一枚の写真だ。皆いい顔してる。全員分かりますか?

論文とゼミ

長年温めていた論文の構想をようやくまとめはじめる。以前連載の原稿にしたことはあるのだが、誌面の都合と読み物としての面白さを考え、都市計画史論文としての精度は低かった。これをブラッシュアップしたかったのだが、なかなかよい手がかりがなくしばらく中断していた。図書館に籠ったり、新しい文献調査からいろいろと疑問点が解けてきた。
ようやく自分なりに納得のいく結論としてまとめられそうだ。しばらく集中してとりかかろう。内容は秘密。

昨日だったか、佐久間先生と次年度ゼミの進め方について昼食がてら相談。学部・院生で構成される研究グループを構成し、それを研究のプラットフォームとする点で一致した。全体ゼミで細かいことをいちいち詰めるのはもったいない。もっと大枠の話に終始したいし、そのほうが議論も深まる。来年取り組みたい研究が山のようにある。研究グループの構成方針も詰めなければ。
都心まちづくり、水都大阪、風の道計画、戦前大阪の都市デザイン思想、戦前大阪の区画整理計画論、環境デザインボキャブラリー、際の計画論、御堂筋、歓楽街計画、地元に入り込む密集市街地計画、公開空地・・・どうしよう。学生の数だけグループができそうな勢い。こっちも整理しないといけない。3〜4つに絞り込まないといかん。
佐久間先生の得意とする研究テーマも立ち上げてもらおう。
次年度はしばらくきついが毎週ゼミを全員で行うつもり。やり方を変えてみようと考えている。

2010年3月3日水曜日

3月2日 修士論文公聴会

昨日、修士論文公聴会が無事終了。今年は論文提出者が少なく、例年別に行われる環境系、計画系の公聴会を一緒に実施した。わが研究室の成果は・・・よくもわるくも予想通りの結果。
都市計画、都市デザインという領域の研究は扱うべき係数や要素がとても多い。都市に関わることはなんでもその対象になりえる。そこで大事なのは関心を絞り込む側の意思なのだ。あれもこれもと興味を広げると、単にいろいろやっただけの調査になってしまい、そこに論がみえなくなってしまう。都市計画、都市デザインに関心のある学生というのはそもそも幅広い興味を持っている人が多いので、論を立てるという論文の最も重要な部分に対する追求が薄くなる。
私自身の反省も含めてだが、そのことはゼミを通じて結構指摘してきたつもりなのだが、なかなかそこをブレイクスルーできていないように思う。
とはいえ、しっかり研究している論文はそのあたりは明確に記述がなくとも、論の滲み出しがあるものだし、中途半端な研究は単なる情報の羅列に終わる。
次年度以降の論文の進め方については、根本的に見直したい部分も多い。佐久間先生とともに方針を見出そう。
卒論と比べると発表後の質疑への応答が下手だったように思うが、これは気のせいか?まあ、卒論での優しいツッコミと比べると修論では本質的なツッコミとなるので厳しさは違うのだが、フリーズしてしまう学生が多かったように思う。十分予想されるような質問だったと思うだけに、やや残念だ。
いずれにしても、修士諸君。おつかれさまでした。まだ、学会論文の準備が残っているので喜ぶのはまだ早い。公聴会で指摘された点も踏まえ、集大成として、学会論文にまとめてほしい。

読み物

以前、塩野七生さんのローマ人の物語を読んでいる話をしたが、いまは30巻あたりまで読んだところ。いわゆる五賢帝の時代とローマのインフラ整備に関わる部分。これはこれで読んでいるがやはりカエサルの頃と比べるとドラマチックな展開は少なくなってくる。面白くないわけではないが、他の本にもつい手がでてしまう。
そこで、バーナード・ルドルフスキーのみっともない人体を読んでみる。この人は建築家なしの建築というSD選書で知られるウィーン生まれの建築家。世界中の都市に住んだ経験からヴァナキュラー建築に対する関心が深い。みっともない人体とはこの人間版という感じの本。各地、各時代の様々な「かっこいいとされる」ファッションを取り上げて、その特徴を読み解いてゆく。我々がある固有の地域で、ある時代に常識としていることがいかにちっぽけな価値観なのかということが見えてくる。
新しい価値を見出すには常識を疑う姿勢は欠かせないように思う。我々が思う、望ましい都市とは、なんなのか。後代の人々、他地域の人々はみっともない都市と笑うかもしれない。いたって本人達は真剣なのだが。